展 応用できる世界が広がる木の建物

2階建ての住宅なら、構造的には木造で十分強いし、強さの余裕もあると前項で延べました。住宅を木造でつくることは、まさに「適材適所」ならぬ「適規模適構造」と言えるでしょう。逆に言えば、大規模の建築物を木造で造ろうとすることは、「適規模適構造」の原則に反することで、慎重な姿勢が求められます。

しかし、近年、技術開発や資材開発が進み、木造の「適規模」の世界が拡大してきています。規模拡大の方向は大別して2つです。

1つは階数で、その代表が木造3階建て住宅でしょう。その構造計算のための具体的な基準が提示されたのが今から約30年前のことです(準防火地域の木造3階建ての基準と同じ頃)。

以来、全国的には地価が高い都市部を中心に木造3階建て住宅が建設されてきています。建設費と比べて地価が圧倒的に高いと、3階建てにする方が経済的になるためでしょう。翻って本県では相対的に地価が高くないため、大都市圏ほど多くはありませんが、それでも都市中心部などで相当数の3階建て木造住宅が建設されてきています。 木住協としても、木造の世界が広がることは歓迎です。設計者・施工者向けに分かりやすい解説書を出版するなど、その支援に努めてきました。

天井の高い大空間をつくる、あるいは、床面積の大きな建物をつくる・・・いわゆる大規模建築物が規模拡大の2つ目です。大空間の代表は体育館やコンベンション施設で、広い床面積の建物の代表は学校校舎や医療・福祉施設、そして、集合住宅の類でしょう。

これらの多くは県や市町村という地方公共団体が建設主体となる場合が多く、本県でも林産地を中心に学校や公営住宅・観光施設などが木造で建設されています。 木住協としてもこの動きを促進するために、木造の公的施設の提案を地方公共団体に対して行うなどの事業を展開してきています。