地 徳島の風土と暮らしを反映した木の住まい

暖かい・寒い、雨あるいは雪が多い・少ない、台風がよく来る・来ない、そして、産業の違い、歴史・文化の違い・・こうした違いは、それぞれの地域に固有の暮らし方を生み、様々な住宅様式・デザインを創り出してきました。本県では、吉野川流域のおぶた(大蓋)造りという農家住宅様式が有名ですが、脇町・貞光・池田などの古いまちなみにあるうだつ(卯建)や県南の漁村集落に見受けられるぶちょう(蔀帳)というユニークなしかけも地域の貴重な建築文化資産として評価されています。

こうした地域固有の住宅のかたちは、生活様式の均質化が全国に広がる中でずいぶんと薄まってきましたが、それでも気候・風土の違いを主要因としているのでしょうか、現在でも各地の家づくりにはそれぞれの個性がある程度表現されています。それは昭和50年代から「地域適合型木造住宅」と呼ばれ始め、各地でその振興が図られていました。 それぞれの地域の住宅の個性は、先人の知恵の結晶であり、遺産とも言えるものです。全国席巻を目指す大手のハウスメーカー等はそれを継承しようという方針をほとんど持ち得ません。地域適合型木造住宅の担い手は、やはり地域におけるビルダーや大工技能者であり、それらが集まった木住協のような組織なのです。

木住協は「徳島の暮らしの容れ物」として住宅を考えました。発足以来、地域で採れる材料である徳島すぎ等の県産材を使用し、高温多湿、台風の多い気候の中でも快適な暮らしが実現でき、長持ちする木造住宅を開発し、モデル的建設を通じてその普及を図ってきました。開発した住宅を「とくしまの家・120」と呼び、次の基本方針(概要)を有しています。

◇耐久性の高い大断面架構
主要な柱を120mm角とし、各所に耐久性向上の工夫を加える
◇高い技能に培われた合理的軸組工法
整理された部材寸法と高いレベルの仕様
◇徳島すぎ使用
◇ライフスタイルに対応しやすい平面プラン
◇高い居住性能

「とくしまの家・120」は誕生して20年以上経過していますが、その精神は今なお新しく、私たちが標榜するシンボルとなっているのです。